協議離婚は、当事者の協議(話合い)で離婚を成立させる場合ですので、裁判所の関与はありません。そのため、ともすると力の強い方の言いなりに離婚の際の条件が決められてしまい、力の弱い方は、本来なら主張できたはずの権利や利益を理不尽に失ってしまうということも生じ得ます。
私が日々多くの離婚相談に応じている中には、協議離婚が成立した後に、「もっとこうすればよかった」「あのことを主張すればよかった」、だから、今から何とかなりませんか?といった内容が含まれる時があります。
しかし、一度決まったことを後で覆すのは、一般論としては、難しいことが多いといえます。その意味でも、離婚協議を進める際には、弁護士のアドバイスを受けながら慎重に考えていくことをお勧めします。
そして、離婚協議や交渉の際の“力の強い方”というのは、例えば、物理的に力の強い夫の場合もあれば、夫が“不貞をした”場合に、その弱みをつかんでいる妻ということも考えられます。
また、離婚協議の際には当事者だけでなく、両親等の親族が関与することも散見されますが、「自分一人」対「相手方は両親を含めて三人」という構図になってしまった場合(例えば、自分の両親は地方に在住で、相手方の両親が近くに居住しているケースなど。)、相手方が“力の強い方”(自分は力の弱い方)になってしまうかもしれません。
ご自身が、“力の強い方”ではない場合(力の弱い方の場合)には、なおさら、当事者同士の離婚協議(話合い)や交渉について、慎重に進めて行きたいものです。
具体的な進め方については、こちらをご覧ください。
なお、離婚裁判はもちろんのこと、離婚調停でも裁判所の関与がありますので、裁判所の後見的な立場から、離婚の際の条件が妻(夫)だけに一方的に不利な内容とはならないよう一定の配慮がなされます(ただし、それでも限界はありますが。。。)。
そのため、無理にご自身で協議離婚を進めるのではなく、調停を申し立てるということも一考です。