【以下では、請求者(浮気をされた方)、配偶者(浮気をした方)、相手方(配偶者の浮気相手)という位置づけでご説明します。】
不貞(不倫・浮気)の慰謝料請求をした場合、相手方から出てくる反論の一つに、「配偶者のことを既婚者だと知らなかった」というものがあります(①)。
また、配偶者が既婚者であることは知っていたが、「請求者と配偶者の婚姻関係は実質的に破綻していたはずだ」という反論もあります(②)。
この点、上記①及び②の反論は、“論理”としては全く成り立たないというものではありません。
そのため、このような反論が“出まかせ”ではなく、事実であるとすれば、請求額が減額される可能性もありますし、場合によっては、慰謝料請求そのものが認められなくなる可能性も否定できません。
そのため、慰謝料を請求する者としては、①及び②のような反論に対する関係でも、事前に証拠を整えておいた方が無難だといえます。
この点、②に関しては、配偶者が不貞行為を行っていたであろう時期にも、夫婦(家族)の間で交流があったことを示すもの(例えば、家族旅行をした時の写真等)を用意すること等が考えられます。
他方、①については、仮に、相手方が請求者とも知合いであるようなケースであれば、そのことを証明できる資料(かつてやり取りした連絡の履歴等)が役に立つといえるでしょう。
しかし、通常は、請求者と相手方との間に接点はないでしょうし、配偶者が相手方にどのような話をしていたのかを請求者が確認する手段はありませんから、“相手方は配偶者が既婚者であることを知っていた”と、請求者において証明することは難しい場合が多いと思います。
そうすると、配偶者と相手方との関わり方から客観的に相手方の認識(配偶者が既婚者であることを知っていること)を指摘していくしかありませんが、こういう認定作業を一般の方が行うのは難しいかもしれません。
こういう事情を考えますと、相手方から②のような反論がなされている場合(予想される場合)には、弁護士と相談をしながら慰謝料請求を進めていく方が無難かもしれません。