不倫の慰謝料請求で必要なこととは。

 

私は、近時、不貞(不倫)の慰謝料請求に関するご相談を頻繁にいただいております。「配偶者が不倫しているようなので、不倫相手に慰謝料を請求したいです。」といったご相談です。

 

このようなご相談が来た場合、弁護士としましては、まず、不貞の事実を立証するに足る証拠の存在を確認します。その中には、例えば、ラインやメールのやり取りなども含まれますが、具体的な会話の内容等によって証拠としての価値(力)は千差万別であるため、それだけでは証拠として十分でないケースも珍しくありません。そのため、できれば配偶者と不倫相手がホテル等に入る瞬間と出る瞬間、さらには、その滞在時間の記録等をそろえておきたいところです。

 

もっとも、このようなことは、インターネットの情報から容易に知り得るところですので、私のもとにご相談にいらっしゃる方の中には、事前に探偵事務所に調査を依頼し、「調査報告書」を持参していらっしゃる方も少なくありません。

 

こういった状況から、私は、探偵事務所の「調査報告書」を目にする機会が多いのですが、その作り方には探偵事務所ごとにバラつきがあり、かなりしっかりとしたものから、残念ながら少し不安になるようなものまで、様々なものを目にします。ただ、そういった違いはどうして生じるのか、出来上がった「調査報告書」を見ているだけの弁護士にとって、その理由はわかりませんでした。

 

そこで、私が以前所長をしておりました川越中央法律事務所と同じ川越に本社がある、株式会社原一探偵事務所様にお願いをしまして、この度、探偵さんの調査活動を見学させていただくことができました。もちろん、実際にご依頼を受けている本物の案件の調査に同行したのではなく、あくまでも“模擬調査”の形ではありましたが、原一様の男女の従業員扮する“不倫カップル”が自動車で移動するのを、探偵チーム(その時は、車2台バイク1台のチームでした。)の中の1台に同乗し、尾行体験をさせていただくというものでした。ただ、“不倫カップル”と探偵チームとの間には事前にルートの打合せなどは一切ありませんでしたので、その尾行体験は本番のそれと遜色のない、とても緊迫感のあるものでした。

 

尾行調査は、ターゲットに気づかれてしまっては意味がなくなるため、つかず離れずで行うわけですが、途中、一般車両が間に挟まったり、赤信号のタイミングで足止めを食らったりしてターゲットを見失う可能性があります。しかも、当然のことですが、道路交通法等の関係法令を遵守していかなくてはならないため、とても単独では難しいものだということが分かりました。そのため、原一様では、探偵さんたちがチームを組んで、無線で連携を取り合いながらターゲットについて行くという方法で実施していらっしゃいました。このような調査は、とても素人が真似できるようなものではなく、「職人技」ともいえる技術に裏打ちされたものでした。

 

ところで、近時は、GPSを利用することで尾行調査は行わず、調査費用を安くしている探偵事務所もあるそうです。そういった方法が一概に悪いということはないでしょうが、例えば、ターゲットがホテル等に入ってからその後で探偵さんが現場に急行するといった形になってしまうと、入る瞬間の写真を残すことが難しくなってしまうという問題はあるとのことでした。不貞を立証するための証拠としては、できればターゲットがホテル等に入る瞬間及びその滞在時間も押さえておきたいところなので、そのためには、原一様の調査方法のように、探偵さんたちがしっかりと尾行をして、ターゲットの行動を監視し続けることが重要なのだと思いました。

 

もともと、私の印象では、原一様の「調査報告書」はかなり充実したものだと感じており、そういう理由もあって今回調査活動の見学をお願いしたのですが、実際に体験調査を終えて「調査報告書」がしっかりとしている理由がわかりました。

 

今回の体験から感じたことは、弁護士や法律事務所がどこでも一緒とはいえないのと同様に、探偵事務所も、その事務所によって大きな違いがあるということですね。どこの探偵事務所に依頼をしようかと迷っていらっしゃる方は、ご自身が現在どういう状況にあり、どういった「調査報告書」が必要なのかをしっかり考えて、複数の探偵事務所からお話を聴いた上で決めるのがいいのではないかと思いました。ただ金額が安いというだけで探偵事務所を決めてしまうのは、弁護士を弁護士費用だけで選ぶのと同様、リスクを伴う選び方かもしれませんね。 

 

 

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